ピート・ブティジェッジは、2020年11月のアメリカ大統領選挙の候補者の一人。 2020年11月の大統領選で現職ドナルド・トランプ大統領(共和党)と戦うため、 民主党の公認候補を目指し、予備選を戦った。 予備選の開始時点で38歳。大統領候補としては異例の若さだった。 ゲイであることを公表しており、男性と結婚している。 ゲイあるいはLGBT(性的少数者)をカミングアウトしている初の大統領候補だった。
インディアナ州の米中西部インディアナ州サウスベンドの市長を2020年1月1日まで2期(8年間)務めた。 サウスベンドは人口10万人。 英語以外に7か国(ノルウェー語など)を話す天才であり、勉強熱心。
民主党の予備選では、初戦のアイオワ州で勝利した。 続くニューハンプシャー州でも2位となった。 しかし、3戦目のネバダ州と4戦目のサウス・カロライナ州で敗北。 大統領選から撤退した。 撤退時点の得票数は、1位のサンダース、2位のバイデンに次ぐ3位だった。 まだ選挙資金には余力が残っていたが、早々に撤退を決断した。
ブティジェッジは、政策的には中道左派。 オバマ前大統領に近いが、政策的にはオバマよりやや急進的。 「最低賃金を時給15ドルに引き上げ」「健康保険の加入者の大幅な拡大」などを掲げた。
前回2016年の大統領選で、 民主党のヒラリー・クリントンがトランプに敗れた理由の一つは、 もともと民主党が強かった中西部の工業地帯で、 トランプに票を奪われたことにある。 このため、中西部の工業地帯(ラストベルト)を地盤とするブティジェッジは、 中西部で勝てる候補として期待された。 軍隊に志願し、アフガニスタン戦争に従事した実績があることも強みと見られていた。(トランプは不動産会社を経営する父親のコネによって、ベトナム戦争の徴兵を逃れたと言われている)
Tweet英語名 | Pete Buttigieg |
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年齢 | 38歳 |
公約(政策) |
・最低賃金を時給15ドルに引き上げ ・2000ドル以上の児童手当 ・低所得者や高齢者向けの公的健康保険(メディケア)を拡大し、希望する国民がだれでも加入できるようにする。 ・学生ローンの返済に上限を儲ける。 ・年収10万ドル以下の家庭なら、公立大学の学費が無料 ・労働組合の権限拡大 ・大統領選の制度を改革し、単純に得票が多い候補者を当選する仕組みにする(選挙人制度の廃止) |
政治信条 | 「民主的な資本主義」を標ぼう。 資本主義の重要性を認めつつ、より民主的で公平な社会を目指す。 前副大統領のジョー・バイデン候補より左寄り(リベラル寄り)で、バニー・サンダース候補よりは中道寄りに位置づけらている。 いわば現実路線の改革派。 オバマ前大統領の立ち位置に近いが、具体的な経済政策や社会保障政策はオバマより左寄りで、進歩主義(プログレッシブ)的。(民主党支持者が全体としてオバマ時代より左寄りになっており、それにあわせて各候補者も左寄りになっている面がある。) |
日本語(カタカナ)の読み方 | ピート・ブティジェッジ |
生年月日 | 1982年1月19日 |
出身 | 米中西部インディアナ州サウスベンド |
政党 | 民主党 |
職業 | 2020年1月まで、自らの故郷であるインディアナ州サウスベンドの市長だった。 |
愛称 | ピート市長(Mayor Pete) |
軍歴 | 大学院卒業後に海軍に志願した。市長に就任した後の2014年に徴兵された。7か月間、アフガニスタンに従軍した(海軍) |
学歴 | 米ハーバード大学 英オクスフォード大学の大学院 ※米国内の極めて優秀なエリート学生を支援するオクスフォードの奨学金制度「ローズ・スカラシップ」受けており、いわゆる「ローズ奨学生(Rhodes Scholar)」の一人) |
民間での職歴 | 大学院を卒業後、米大手の経営コンサルティング会社「マッキンゼー」に就職。シカゴ支店で経営コンサルタントとして3年間働いた。 |
性別 | 男性。ただし、ゲイ(同性愛者)であると公表(カミングアウト)している。公表したのは2回目の市長選に臨むとき(2015年6月) |
配偶者(夫)=同姓婚 | Chasten Glezman(チェイスティン・グレズマン、チャステン・グレスマン)=高校教師 |
結婚 | 2018年6月 |
父親 | Joseph Buttigieg(ジョセフ・ブティジェッジ)。2019年1月27日、71歳で癌により死去。マルタ出身の移民。文学者。ノートルダム大学(サウスベンド)の教授。 |
母親 | Jennifer Anne Montgomery(ジェニファー・アン・モンゴメリー)。74歳。ノートルダム大学(サウスベンド)の元教授。現在は、息子ピートの選挙の重要なスタッフとして働いている。 |
市長としての初当選 | 2011年11月(当時29歳) |
2期目の当選 | 2015年11月 |
宗教 | キリスト教の一派「米国聖公会」 |
話せる言語 | 8か国語 ・英語 ・ノルウェー語 ・フランス語 ・スペイン語 ・イタリア語 ・マルタ語 ・アラビア語 ・ダリー語(アフガニスタンのペルシア語) 動画(いろいろな言語を話している様子)→ |
趣味 | ピアノなど
ピアノ演奏の動画→ |
選挙戦での強み |
・スピーチが上手。話がスムーズで、聴く価値がある。話の内容が充実しているので、メディアからの出演依頼も多い。 ・知的レベルが高い ・若い ・愛嬌がある ・軍隊に志願し、派兵された経験がある。 ・庶民だけでなく、富裕層からも支持されており、多額の寄付金を集めている。選挙資金は潤沢 ・選挙戦術に長けており、データを駆使して効率よく得票するのが上手。(事前の世論調査よりも良い結果を出す傾向がある) |
選挙戦での弱み |
・黒人やヒスパニック系(ラテン系)の間での知名度が低い。 ・政治家としての経験が浅い。国政は未経験 |
民主党内の予備選のライバル |
・バーニー・サンダース・・・78歳のベテラン上院議員。民主党左派の神的な存在。「民主的な社会主義者」であることを公言。
人種差別撤廃や貧富の格差是正のために、長年にわたり闘ってきた。
リベラルな政策の一貫性が、若者に熱狂的な支持を得ている。イラク戦争にも反対した。
前回2016年の予備選ではヒラリー・クリントンに迫る得票を得た。 全米の庶民から数千円単位の寄付金が集まり、選挙資金が潤沢である。 サンダースの熱心な支持者は「バーニー・ブロ(ブラザーの略)」と呼ばれている。 バーニー・ブロの一部はネット上で他候補を中傷する傾向があると言われ、 その排他的な姿勢について、トランプ支持者との共通性を指摘する声もある。 ・ジョー・バイデン・・・オバマ政権の副大統領。知名度ナンバー1位。中道層に幅広く支持されている。親しみやすい「愛されキャラ」が持ち味。77歳。 根強いオバマ人気にも支えられている。 ・マイク・ブルームバーグ(マイケル・ブルームバーグ)・・・全米で有数のお金持ち。起業家。金融機関向けの情報サービス会社「ブルームバーグ」をニューヨークで立ち上げ、日本を含む世界で大成功させた。 その後、ニューヨークの市長に就任し、治安の回復やレストランでの全面禁煙の早期導入など、数々の輝かしい実績を残した。 市長退任後は、自らの私財を大量に投入し、慈善活動や銃規制推進に取り組んできた。 選挙活動のお金が山ほどあるのが強みで、地上波テレビを自分の選挙CMで埋め尽くしている。(中津孝吉) |
大統領選出馬の検討表明 | 2019年1月23日 |
大統領選出馬の正式表明 | 2019年4月14日 |
大統領選の投票日 | 2020年11月3日 |
民主党の予備選の結果 | ・アイオワ州・・・1位 ・ニューハンプシャー州・・・2位 |
著書 | 「Shortest Way Home: One Mayor's Challenge and a Model for America's Future(アマゾン)」 |
日本語でのいろいろな呼び名(カタカナ表記、発音) |
ブティジェッジはたいへん珍しい名前である。
発音が難しいため、日本でも当初、さまざまな呼称が乱立していた。
現在、NHKや新聞(朝日新聞を除く)、海外メディアの日本語版などを含めて、「ブティジェッジ」という表記でほぼ統一されつつある。 ・ブーティジェッジ・・・「ブー」と伸ばす。実際にはアメリカで伸ばして発音する人も多い。頑固な言語マニアが主導するウィキペディア日本語版でも、最初は伸ばしていた。しかし、カタカナ表記として長くなりすぎるし、日本語の呼び名としてなじみにくいため、廃れていった。 ・ブータジェッジ、ブタジェッジ・・・ティでなく「タ」とする表記。しかし、これだと「ブタ」になってしまうため、良くないということで、衰退。 ・ブーテジェッジ、ブテジェッジ・・・ティでなく「テ」とする表記。しかし、アメリカで「テ」と発音している人は少数派である。「i」を「エ」と読ませるのは無理があるため、衰退。 ・ブダジェッジ・・・朝日新聞だけが使っている呼び方。二文字目を「ティ」や「タ」でなく、「ダ」と濁って表記している。これはさすがに間違いだが、途中で間違いを認めて軌道修正することが難しくなっていると見られる。 |